R1年5月号

「Tさんのこと」

 顧問 吉永 砂夫 

 昨年4月の総会時に、「保存会だより」巻頭言の2年間寄稿者が決まりましたが、私は本年5月号担当となりました。  自分で希望したわけでもないのに、栄えある新元号出発の月担当に恵まれました。  さて何を書いたらいいのか、光栄でもあり、時の重み、責任を強く感じたものでした。

 Tさんは、昭和から平成へと御代替わりの頃、保存会に在籍しておられました。 実力は2段。 Tさんは、クアラルンプールの在外教育施設(いわゆる日本人学校)の校長として赴任されました。 日本人学校には現地の人々や日本各地から先生方が派遣されています。 親睦会かなにかの時に「熊本を出してください。」「日本をだしてください。」といわれて、Tさんは何を出されたでしょうか。 「民謡おてもやんを唄われた。」 いいえ。 「民舞田原坂を披露された。」 いいえ。 ・・・・そうです。 ちょんかけを回されたそうです。 

 

 

2段の腕前でしたので、まだまだ上手とは言えなかったでしょう。 何回か手元がくるってこまは落ちたそうです。 マレーシアはけんかごまガシンの国、リンギットの補助貨幣センの図柄にこまが描かれていたのをかすかに思い出しています。 こまに国境はありません。  Tさんの勇気ある、上手でもないかもしれないこまの披露はきっと関係者の好感を呼んだことでしょう。  その後の学校運営はスムーズにすすんだと思います。

 Tさんは、昨年春の叙勲で、天皇から瑞宝双光章が授与されました。 Tさんは、保存会会友として、今後も会の発展のためつとめられることでしょう。